環境デザイン

 

今日のテーマは 『 環境デザイン 』 ということで、「環境を整えることは相当大事です」という話です。

 

行動経済学者の言葉

まず、行動経済学が専門である、アメリカ・デューク大学・ダン・アリエリー教授の言葉です。

「過去40年に社会科学が残した大きな教訓の1つは、 ❝環境❞ が重要だということです。あなたがレストランに行くとします。食事がどのようにオーガナイズされているかによって、あなたは1つの料理を食べることもあれば、ビュッフェ形式で沢山の料理を食べることもあるでしょう。私達は自分で決定を下していると思っていますが、実は ❝環境❞ がかなりの部分を決定しているのです。従って、自分をどのような環境に置くのかを考える必要があります。 ❝環境❞ はあなたが思っている以上に重要な問題なのです。」

教授の言葉ではないですが、他の例も挙げると・・・「日本で生まれたら日本語を話すようになるが、アメリカで生まれたら英語をはなすようになる」とか「勉強一家に生まれたら勉強が得意になり、スポーツ一家に生まれたらスポーツが得意になる」とか「海辺で生活するのと山奥で生活するのとでは、全然違う暮らしになる」とか・・・etc。

このように、人は与えられた環境に対して、当たり前のように影響されていきます。

 

人は身近な環境に影響されている

ということで、私達は普段の生活の中にある身近な環境にも、何かと影響されている可能性が高いです。

例えば、❝ネガティブな言葉が飛び交うような環境❞ にいると、ポジティブな自分を維持しにくいです。それどころか、その環境に影響されて、ネガティブな言葉を発してしまう自分になってしまうかもしれません。ポジティブな人になりたいのなら、ポジティブな言動をする人に囲まれた方が良いでしょう。

また、❝ダラダラする人・チンタラする人が多い環境❞ にいると、行動力を維持しにくいです。それどころか、その環境に影響されて、ダラダラしてしまう自分になってしまうかもしれません。行動力を身につけたいなら、行動力があってテキパキしている人に囲まれた方が良いでしょう。

また、「❝『気が散る』ような環境❞ は、人の能力を低下させるのか?」というダン・アリエリー教授の研究では、「騒音が多い鉄道線路沿いの学校で学ぶ学生が、静かな教室で学ぶ学生に比べ、大きく学力的に遅れをとったが、防音装置によって騒音が解消されると、学力の差がなくなった」という例があるそうです。

また、とある職場の環境調査では、「生産性が際立って高いコンピュータープログラマーには共通点があり、それは経験でも給料でもなく、雇用主から集中できる静かな環境を与えられていた。」という結果が出ているものもあるそうです。

つまり、❝『気が散る』ような環境❞ は、人の能力を低下させるので、 ❝集中し易い環境❞ を作りましょう、ということです。

もちろん、いつでもどこでも環境を思い通りにできるわけではありませんが、 ❝環境は重要❞ ということを常に意識することで、少しづつでも、自分にとってより良い環境を作っていくことができると思います。

 

環境のせいにしていいの?

教育の現場では「環境のせいにしてはいけない」という言葉をよく聞きます。

実際問題、指導者の立場の人や親御さんの中には、「環境のせいにするな!自分の責任だ!自分に厳しくあれ!」というマインドセットを重視する方もいらっしゃるでしょう。

確かに、それは素晴らしいマインドセットだと思います。

ただ、これはどちらかというと精神論的であり、その一方向からのアプローチだけでは、効率や生産性が低下してしまう場面も多々あります。

例えば「家にいたら色んな誘惑に負けて勉強がはかどらないから図書館に行く」とか、「家にいたらついトレーニングをサボってしまうからジムに行く」とか、「朝何もないと昼まで寝てしまうから、朝に予定を入れる」とか、このようなことは、❝気持ちを強く持って解決❞ しようとするのではなく、❝環境を整えることで解決❞ しようとするアプローチです。

お坊さんたちも、街中の騒がしいところで座禅を組んだりしません。集中しにくいからです。違う意味での修行にはなるかもしれませんが、本来の座禅の成果は期待できません。本来の座禅の成果を得るには、静かなお寺のお堂が適しているのです。気合いや根性の問題ではないのです。

確かに、「それを環境のせいにするのは自分に甘過ぎるだろ💢」とか「それを環境のせいにするのはワガママ過ぎるだろ💢」など、学習者が成長するどころか、退化してしまいそうな ❝甘い思考❞ をしてしまっている場合は、「環境のせいにするな!」という指導をした方が良いと思います。

しかし、「集中力を発揮して効率を上げる」ことが目的である場合は、『心を強くして気合いで乗り越える』という作戦よりも、『良い環境を作る』という作戦の方が、より効果的で生産性が上がることも多いのです。

ですので、これは「有意義な環境デザイン」なのか?「甘え・ワガママ」なのか?という判断はきっちり行う必要があります。

このような判断を高精度で行える人が「頭がいい人」であり「どんどん成長する人」なのだと思います。

なかなか難しいことですが、このようなことを意識して考えることで、判断能力が少しづつ向上していくのだと思います。これも ❝積み重ね❞ と ❝継続❞ です。

自分の生活の様々な場面において『環境デザイン』を意識し、考えて実行してみて下さい。

 

名言集

それでは最後に名言集です。

 

「大事なのは環境。自分の能力以上を求められる環境でなければ、成長は難しい。」

柳井正

 

「環境が人を成長させる。だから自分が成長できる環境を選ぶ。」

野村克也

 

「気合いと根性で頑張っても長続きしないし効率が悪い。❝やらざるを得ない環境❞ を作る方が手っ取り早い。」

教育者X