アンガーマネジメント(試合時)

 

今日のテーマは 『 アンガーマネジメント(試合時)』 ということで、「試合の時のアンガーマネジメント」について、具体的な方法を話していきたいと思います。

多くのスポーツがそうだと思いますが、テニスの場合も、試合中にはそんなに落ち着いて腰を据えて考える時間はありませんので、「時間のない中で、即効性のある方法」が必要です。今回は「即効性のあるアンガーマネジメント法(衝動的な怒りをそらすテクニック)」についてです。

「コートに立っている時」と「エンドチェンジなどの休息時」に分けて説明します。

 

『 コートに立っている時 』

 

1、「怒りが爆発しそうになったら6秒数える」

怒りは脳幹(頭の中心部)にある扁桃体という部位で発生するのですが、その感情が前頭葉(理性をつかさどる部位)に伝わるまでには少しの時間がかかり、そのタイムラグが6秒程度であることが分かっています。つまり、この6秒程の間は、理性(頭脳)が働いていないため、突発的な動物的な行動を取ってしまう可能性があるということです。

ということは、逆に言うと、激高するような激しい怒りでも、6秒程をやり過ごせば、怒りに任せた衝動的な行動を取らずに済む可能性が高まるということです。6秒程度時間を作ることで、怒りの感情のピークが過ぎ、理性が働いて、冷静な感情が生まれてくる…という理屈です。

では、6秒を稼ぐ方法の例を2つ挙げます。

①「自分は怒っている💢」と自分の怒りを認識する

以前にも書きましたが、人の脳は、認識することで自然に改善しようとする一面があります。怒りに気付くだけで、怒りが収まる可能性もありますし、「自分は怒っている…」と何回か確認すると、すぐに6秒経過して、少し落ち着きを取り戻すことができるでしょう。

②「怒りの温度測定」をする

次に、イラッとしたりムカムカするたびに、「この怒りは、10点満点として何点だろう?」と考えて点数をつける方法です。「今感じている怒りはどれくらい熱さか?」を、心の中にある体温計で測るイメージです。「この前の怒りはかなりイラッとして10点だったけど、今日はこの前よりはマシだから7点くらいかな…」という感じで。これもやっているとすぐに6秒経過します。怒りを感じるたびに点数をつける習慣を持つことで、衝動的な怒りを回避する確率が上がるでしょう。

 

2、「自分の怒りの感情に対して、面白い名前をつけたり、可愛らしいキャラクターに例える。(少しでも笑えるようにする)」

これは言葉では上手く伝えにくいですが、怒りに対して、自分がつい笑ってしまうような名前をつけたり、つい笑ってしまうような怒りを表す絵や図を用意しておいて、イメージの中に登場させるという方法です。

例えば、怒りを表す「火の玉」をイメージし(「ぐぬぬぬぬぬぬ…」)、その火の玉の後ろから、笑える怒りキャラが登場する(「○○ちゃん登場!」)とか。あまりのバカバカしさに感情が緩めば、怒りが軽減されます。いろんな面白い(バカバカしい)パロディを作って試してみて下さい。

②の温度測定の時にも、ものすごく可愛らしい声や、高音のアニメ声で「ムムムム・・・この怒りは〇点!」とイメージするのも、笑えるかもしれません。

このような話はあまりカッコいい話ではないので、外には出てこない(実際にアスリートが語ることはほぼない)のですが、こっそり実践している人もいるそうです。

とある実業家の方は、イラついているなと思った時は、笑える動画を見たり、笑える絵を見たりするそうです。それ用のフォルダーを作ってそこにストックしているようです。

 

3、「深呼吸をする」

呼吸は、自分でコントロールできない自律神経へアプローチできる唯一の方法です。呼吸には無意識にしている呼吸と、意識的にする呼吸があります。このように「二重支配」が行える臓器は珍しく、呼吸を司る「肺」は内臓の中で唯一私達がコントロールできる臓器と考えられています。

イライラするなどして交感神経が優位になると血圧は上がり、心拍数も増えます。逆に、リラックスして副交感神経が優位になると血圧は下がり、心拍数も少なくなります。自分でコントロールできないはずの心拍数が、実は深呼吸することで、コントロールできるのです。

心拍数が落ちるということは、血圧が下がっているということであり、副交感神経が優位になっていることになります。ヨガや瞑想がリラックスやリフレッシュによいと言われるのは、副交感神経を意識的に優位にできるからです。

いつでもどこでも簡単にできる副交感神経を優位にする方法が、深呼吸(ゆっくり呼吸する)ことなのです。吸うよりもはく法を長くするとより効果的です。

 

『 エンドチェンジなどの休息時 』

 

1、「飲み物を飲む」

怒りの感情が湧いている時に、何か身近にあるものを飲んでみるのも一つの手段として有効です。一度にたくさん飲むのではなく何口も飲むようにすると、より効果的です。タバコではないですが、 ❝一服❞ がイライラを軽減してくれることもあります。

 

2、「ひとりになる・その場から離れる」

怒りを鎮める方法はいくつかありますが、可能である場合は、その場から離れ、ひとりになるのも良い方法です。これが最も落ち着きやすい方法であるという説もあります。

本当に怒りの感情で一杯になっている時は、ひとりになるという発想を忘れてしまう人も多いですが、可能であれば、そのようなときにトイレットブレークを取りましょう。ひとりになって落ち着いて考えることで、気持ちを切り替えることができます。プロの試合でも、トイレットブレークで気持ちを切り替えて、逆転勝ちをする場面を結構見かけます。

 

名言集

ということで、今回は「即効性のあるアンガーマネジメント法(衝動的な怒りをそらすテクニック)」についての投稿でした。

「怒りの感情を上手くコントロールできない(-_-;)」という人は、是非実践してみて下さい。当然すぐに上手くいくわけではありませんが、技術練習や筋トレと同じように、練習を積み重ねることで、徐々にレベルが上がっていきます。

次回は「試合の後にアンガーマネジメントを考える」という内容の投稿にしたいと思います。

それでは最後に名言集です。

 

「怒りにしがみついているのは、誰かに投げるために真っ赤に燃えている石炭をつかむようなもの。火傷するのは自分自身だ。」

釈迦

 

「憤怒は他人にとって有害であるが、憤怒に駆られている当人にはもっと有害である。」

トルストイ

 

「遅延は憤怒の最良の治療薬。」

セネカ

 

「何かにつけて憤怒をいだくうちは、自己を制御していない。すべての悪に対しては、平静な抵抗が最高の勝利をおさめる。」

カール・ヒルティ

 

「イライラするほど視野が狭くなる。ワクワクするほど視野が広くなる。」

福島正伸