網様体賦活系(RAS)

 

読者の方から、「『脳には、意識的に認識することで改善に向かう力がある』と書かれていたのですが、意味が分からないので説明お願いします。」という質問がありましたので、その答えの1つとして、次のテーマの投稿をします。

 

その今回のテーマは『 網様体賦活系(RAS)』 です。

 

『網様体賦活系(RAS)』とは

人間の脳には『網様体賦活系【もうようたいふかつけい】(RAS)』というフィルターがあります。

脳は毎秒、4000億ビット(50GB)もの情報と触れているそうです。 そしてそのうち意識的に処理される情報は、わずか2000ビット(250B)と言われています。残りの情報は意識にのぼりません。

なぜかというと、毎秒毎秒、五感を通じて入ってくる情報をすべて受け取っていたら処理しきれないからです。大量の情報が一気に意識になだれこんできたら、脳は対応しきれずにフリーズしてしまいます。そのため人間は、進化の過程で『網様体賦活系(RAS)』という「必要な情報と必要でない情報を振り分ける仕組み」を獲得したのです。

全ての情報を振るい分け、その中からいつでも自分にとって大事なものだけを拾い上げるツール=『網様体賦活系(RAS)』は仕分け場であり、脳内の意識と無意識のあいだのフィルターでもあります。

そのフィルターのおかげで、私達は「興味があるもの・重要なもの」しか見えないようになっています。「興味あるもの・重要なもの」だけを、目や耳で察知する仕組みになっているのです。

 

スコトーマ

「興味がある・重要」な情報は、次々と自分に取り込まれます。しかし、逆に「興味がない・重要視していない」話題は、ほとんどが記憶に残りません。

私達は、現実世界を結構理解しているように感じていますが、実はほとんどの情報をスルーしているのです。

ちなみに、この記憶に残らない情報は、『心理学的盲点=スコトーマ』と呼ばれます。私達は、実はスコトーマ(心理学的盲点)だらけなのです。

例えば、「いつも通っている学校や会社の建物の絵を書いて下さい」と言われても、ほとんどの人が細かいところまで描写できないと思います。屋根の色とか壁の模様とか配置とか。もう何百回とそこに行っているにも関わらずです。

ですので、記憶に残すためには ❝フォーカス(意識)する❞ 必要があるのです。普段から、繰り返し意識したり考えたりしていれば、脳に「これは重要な情報だ」と認識させることができます。すると『網様体賦活系(RAS)』が情報をどんどん拾い上げてくれるのです。

 

 

 ❝フォーカス(意識)❞ するとどうなるか

何かに ❝フォーカス❞ すると、脳はその情報を抽出しようとします。その脳の機能により、私達は世の中に溢れる膨大な情報の中から、自分が ❝フォーカス❞ したものに簡単に気付くことができます。

例えば、皆さんが今いる場所に、赤色の物はあるでしょうか?赤色を意識して周囲を見渡してみると、赤色の物に次々と目がいくと思います。

では、青色の物はあったでしょうか?先程は赤色にフォーカスしていたため、赤色には気付き易くなりますが、青色やその他の色にはほとんど気付かなかったと思います。

しかし、実際は赤も青もその他の色も、数多くの色が存在しています。先程は赤色に ❝フォーカス❞ したので、赤色ばかりに目がいくようになっていたのです。

これが『網様体賦活系(RAS)』の働きです。

他の例も挙げてみると、例えば「スポーツカーが欲しい」という想いを抱いたとします。そしてその意識を持ったまま外出してみると、今まではあまり気にも留めなかったのに、急に町で走っているスポーツカーに目がいくようになります。自動車販売店や自動車広告なども、つい見てしまうようになるでしょう。

また、「今日から筋トレして鍛える!」という目標を立てたとしたら、恐らく今まであまり気にも留めていなかった、筋トレに関するテレビ番組や、新聞雑誌の記事や、書籍や、YouTube動画などに対して敏感に反応するようになるでしょう。

つまり、 ❝フォーカス(意識)❞ することにより、その必要な情報を脳がどんどん抽出してくれるので、「その目標を達成するための方法・人脈・アイデア・チャンスに出会う確率が高くなる」ということなのです。

例えば、近くの中古車販売店やヤフオクで、手の届く破格の値段でお目当てのスポーツカーが販売されているのを発見したり、書籍で筋トレに関する凄く価値のある情報を発見したり、動画で師匠のような存在の人と出会えたり・・・など、このような ❝目標達成に近づく出来事❞ が起こり易くなるのです。

起こり易くなれば、当然目標達成確率が上がります。

そして、実はこれこそが、「思考は現実化する」とか「引き寄せの法則」とか言われている現象の正体です。

つまり、このような現象は、神秘的なお話ではなく、『網様体賦活系(RAS)』で説明ができる、脳科学のお話なのです。

確かに、「思い続ければ確実に現実になる」とか「イメージし続ければ絶対に引き寄せる」とか、そのような確実性のあるお話ではありませんが、「思考を現実にする確率」や「引き寄せる確率」を上げてくれるのは間違いないのです。

 

『網様体賦活系(RAS)』はメンタル面にも働く

上記のような話と同様に、『網様体賦活系(RAS)』はメンタル面にも働きます。

スポーツの現場では「ポジティブに考えましょう!」とよく言われますが、これも『網様体賦活系(RAS)』で説明することができます。

例えば、何かに失敗してしまった時、自分に対して「どうして失敗ばかりするんだろう?」と考えるのと、「どうやったら成功できるのだろう?」と考えるのと、どちらの思考をするかで『網様体賦活系(RAS)』の働きは全く違ってきます。

前者の場合、「なぜ失敗するか?」にフォーカスしていますから、「失敗する理由」を脳はどんどん集め始めます。

例えば、試合で負けた時に、「どうしてこんなにメンタルが弱いんだ?」とか「どうしてこんなにヘタクソなんだ?」などと考えてしまうと、脳は「あなたのメンタルがいかに弱いのか?」とか「あなたのヘタクソ度合いはどれ程なのか?」というネガティブな情報ばかりを集めてしまいます。

そんな情報を集めてしまうと、より一層ネガティブになって悪循環に陥り、挙句の果てには「メンタルが弱いのは親のせいだ」とか、「ヘタクソなのは環境や指導者が悪い」などと、周りのせいにしてしまう「低次元思考」にも繋がってしまいます。

一方後者の場合、「どうしたら成功するか?」にフォーカスしているため、「成功する方法」を脳は集め始めます。

例えば、上記と同じ状況でも、「メンタルに問題がある。どうすれば改善できるだろう?」とか「どうすれば彼のように上手にプレーできるだろう?」と考えることができれば、脳は「メンタルを改善する方法」や「上手になる方法」という前向きな情報を集めてくれます。

「こうすれば成長できる」「こうすれば次は上手くいく」という情報が集まってくるので、目標が明確になりますし、モチベーションも上がります。

このように、『網様体賦活系(RAS)』は、物事の善悪を判断することはできませんので、できる限り ❝ネガティブ❞ ではなく、 ❝ポジティブ❞ な発想やイメージングをするように心掛けて下さい。

 

目標を明確にして理想の自分に近づく

上記のような話から、私達が持っている素晴らしいシステム『網様体賦活系(RAS)』を上手に活用するためには、目標をはっきり明確にした方が良いことがわかります。

目標をはっきり明確にし、その「目標達成」へとつながるような、ポジティブな発想・イメージング・問いかけを自分自身にすることで、脳のフィルターがその答えを探してくれるようになり、無意識に「目標達成」につながる情報が集められるようになります。

不思議な感じもしますが、これは誰もが持っている脳の機能なのです。

この素晴らしいシステムを上手く使って、どんどん「理想の自分」に近づいていきましょう!

 

名言集

それでは最後に名言集です。

 

「ディズニーランドが完成することはない。世の中に想像力がある限り進化し続けるだろう。」

ウォルト・ディズニー (「ミッキーマウス」の生みの親、ウォルト・ディズニー・カンパニー創始者)

 

「想像力は何でもやってのける。それは美と正義と幸福をつくるが、これこそ、この世におけるすべてなのだ。」

ブレーズ・パスカル (フランスの哲学者)

 

「私たちの行動は、他の高等動物の行動とはあまりにもかけ離れているように見えますが、基本的な本能は人間も動物もたいへんよく似ています。最大の違いは、人間が強い想像力を持っていて、言葉の助けを借りて思考するということです。」

アルベルト・アインシュタイン (ドイツ生まれのユダヤ人、理論物理学者)

 

「自分自身にとって何が本当に大切なのかが分かっていて、そのイメージを常に頭の中に植え付け、毎日その最も大切な事柄を優先する形で自己管理すれば、人生はなんと大きく変わってくることだろう。」

スティーブン・R・コヴィー (アメリカの経営コンサルタント、「7つの習慣」著)