怒るとパフォーマンスが上がる⁉

 

今回は、読者の方からの質問にお答えします。

【質問】

『「ミスをしたらフィードバックしてすぐ次に進む」とか「切り替えて忘れる」という話を読んだのですが、僕は、怒って『なにくそっ!』と思った方が上手くいくことが多いのですが、どう思いますか?』

【回答(私の個人的な意見)】

まず最初に思ったのは、「それでいいと思います。」です。

メンタル面の様々なアプローチの目的は、『パフォーマンスを上げる』『パフォーマンスを安定させる』『自分の持っている能力を発揮する』ということですので、それが実現するのであれば方法は何でも良いと思います。

色んな人がいますので、どう考えれば上手くいくかも人それぞれですし、対処法も、『その人の状況』とか『その人のレベル』とか『その人の性格』とかによって違うと思います。

「100%絶対これが良い!」みたいな方法はないですので、人それぞれ自分にとって有効な方法を見つけていく作業が必要です。

質問者の方が「『なにくそっ!』と思った方が上手くいく」のであれば、それは質問者の方にとって、❝適した方法❞ なのだと思います。継続していって下さい。

学びも継続

ただ、上記にも書きましたが、『状況』や『レベル』とかによって、方法を変えた方が良いことがあったり、現状上手くいっているとしても、更により良いアプローチがあるかもしれないので、学びも継続したほうが良いと思います。

例えば、「もの凄く緊張してしまってかなりガチガチになる」とか「頭が真っ白になってパニックになる」とか、そのようなちょっと深刻な場合であれば、❝怒って怒りに任せる❞ という方法が有効であったり、❝気合いを前面に押出して叫びまくる❞ という方法が有効であったりします。(「怒りや気合いを前面に押出すことで、過度な緊張感を遠ざける」という戦略。または、「怒りや気合いによって、半ば ❝やけくそ❞ になることで、過度な緊張感を吹き飛ばす」という戦略。本来の能力を発揮するのは難しいかもしれないが、「過度緊張ガチガチ状態」よりは、まだマシである…ということ。)

しかし、「試合の時もいつも通りのプレーができる」というメンタルレベルの人であれば、❝怒って怒りに任せる❞ とか ❝気合いを前面に出して叫びまくる❞ ということをすると、メンタル的な安定感に支障が出て、逆に良いプレーを阻害される可能性があるでしょう。そのような選手に「怒りをパワーにかえろ!」とか「決めたら声を出せ!」というアドバイスをすると、逆効果になる可能性が高いです。

要するに、方法は『状況』や『レベル』によるので、「気合いだ!」とか「声を出せ!」とか「怒るな!」とか「我慢しろ!」とか「集中しろ!」とか「冷静になれ!」とか、そんな単純な話ではないということです。

世界を制する選手のメンタル

また、精神的に強いと言われるレベルの高いプロ選手になると、「怒りをコントロールして力に変える」ことができる方もいらっしゃいます。

最近ではゴルフの渋野日向子選手の ❝バウンスバック❞ が有名です。

ゴルフ用語ではボギーまたはボギーより悪いスコアを出した次のホールで、バーディ以上のスコアを出すことを ❝バウンスバック❞ といいます。ツアーによっては公式成績として採用し ❝バウンスバック率❞ としてランキング化しています。2019年12月現在の女子1位が渋野選手で26.0684%です。(2位の選手が22.1%、3位~5位の選手が21%代なので、群を抜いています。ちなみにタイガーウッズ選手は2000年に36.51という驚異の数字を残しています。)

渋野選手はテレビ番組で「怒りをぶつけてスイングするので、いつもより飛距離がでます!」と発言していますが、「怒りをコントロールして力に変える」というメンタリティを持っているということだと思います。

「怒ってもその感情に支配されることなく、ある意味冷静さを保ちながら、その怒りパワーをプラスの力に変えることができる」ということでしょう。(素晴らしいです( ゚Д゚))

恐らく「メンタル熟練者ではない人」が、怒りをショットにぶつけると、ミスショットになる可能性が高いと思います。(もちろん確率の問題なので上手くいくこともあります。だから判断が難しい…(*_*;。)

また、一般的には「前のホールでボギーをたたいてしまった…せっかくいい感じできてたのに…次は絶対に取り返さなければ…」などと考えて、必要以上に肩に力が入ったり、心が揺らいでしまって、次のホールで、またボギーやダボを打ってしまう…という方がありがちなパターンのような気がします。

やはり、世界を制するような方のメンタリティは凄いです( ゚Д゚)。

時間軸で変わる

また、『時間軸が変わると、話が変わる』ということも重要なことです。

例えば上記の渋野選手の話は、テニス選手には当てはまらない部分もあります。

それは、テニスはポイント間が短いということです。エンドチェンジ時やセット間には少し時間がありますが、ポイント間の時間は非常に短いです。すぐに次のポイントを始めないといけません。時間が短ければ切り替えも難しくなります。

ですので、テニス選手の場合は、「フィードバックしてすぐ次!」「忘れてすぐ次!」というメンタリティも必要になってくるのです。

逆に時間軸を長くして考えると、「試合で負けて、ものすごく辛い思いをして、そのネガティブなマイナスパワーを、プラスのパワーに変えて、それを行動力に繋げて成長する」というようなことは、よくある話です。

「次は絶対勝つ!」「絶対にできるようになってやる!」「不甲斐ない自分を叩き直す!」という ❝悔しさ❞ ❝執念❞ ❝執着心❞ というような強い思いは、間違いなく自分の成長を促進してくれるでしょう。

考えることができる充分な時間があれば、上記のように「ある意味冷静さを保ちながら、その怒りパワーをプラスの力に変える」ということがやりやすくなります。

 

回答が長くなってしまいましたが、結局のところは「『状況』や『レベル』や『性格』などによって色んなアプローチがあると思うので、これからも学びを続けて、自分にとってより良い方法を模索していって下さい。」ということでした。