プラシーボ効果

 

今日のテーマは 『 プラシーボ効果 』 です。

 

プラシーボ効果とは

プラシーボ効果とは「偽薬(本当は薬ではない成分)を投与したにも関わらず、症状が回復したり和らいだりする現象」のことです。本来は医療用語ですが、今では日常生活でも使われています。「偽薬効果」「プラセボ効果」とも言われます。

ちなみに、プラシーボは「薬理作用のない薬」という意味ですが、元はラテン語で「喜ばせる」という意味の単語から来ているそうです。「病気にかかった患者を喜ばせて、苦しみを和らげよう」ということです。

医者の方達は、病人に安心感や期待感を持たせることで、症状の改善や延命効果が得られるという「心身一如」の考え方を大切にし、病気の人と向き合っていたのです。

実際、偽薬自体は1700年代から医者が使用してきたことが明らかになっています。

適切な薬を入手できなかった場合や患者が「自分は病気だ」と思い込んでしまっている場合、それらの症状を回復するために、効果のない薬を「有効なもの」と偽って投与してきたそうです。

プラシーボ効果を狙うには、薬が本物であることに説得力を持たせるため、偽薬を使った治療でも本物の治療の過程を模倣する必要があります。そこで、医者は「これは病気に効く」と、薬の形にした砂糖を食べてもらったり、「これは優れた飲み薬だ」と言って水を飲ませたり、手術を行った「ふり」をしたり、様々な工夫を凝らしてきたのです。

 

プラシーボ効果の実例

実際、プラシーボ効果により人体に良い影響を与えた、という実験や研究が数多くあります。その事例をいくつか紹介します。

①薬の値段の実験
アメリカで電気ショックの実験を行いました。被験者を2つのグループに分けて「電気ショックの痛みを和らげる薬を投与し、電気ショックを与える」という実験です。1つのグループには「1錠・10セントの薬」と説明し、もう片方には「2ドル以上する新薬」と説明しました(実際はどちらも偽薬)。その後のヒアリングで、10セントの薬ではなく、「高価な新薬」と説明されたグループの方が、痛みの軽減効果が大きかったということが分かりました。

②うるしの実験
「うるしに触るとかぶれる」というのは有名な話ですが、2つのグループに分けた被験者に「うるしの葉」と「栗の葉」を触らせるという実験を行いました。そして、うるしを触らせたグループには「これは栗の葉」と言い、栗の葉を触らせたグループには「これはうるしの葉」と、逆に説明しました。驚くべきことに、本物の「うるしの葉」を触ったグループでは発疹者があまりでず、「栗の葉」を触ったグループの方に、多くの発疹者がでた、という結果となりました。

③「ダミー手術」の実験
背骨の骨折などで手術が必要な患者たちを、「通常の手術」を行うか「ダミー手術」を行うかの2グループに分け、「ダミー手術」の方は医療行為を何もしない、という実験を行いました。患者には何も知らせず、「ダミー手術」の方は、医師や看護師たちが手術室に入るときから「今から手術を行います」「今からセメントを入れますよ」など声掛けの演技をしました。手術後、なんと「ダミー手術」側の患者たちにも、通常の手術と変わらない回復を見せた人が何人かいました。76歳の患者はゴルフができるようになるほどの回復をみせたといいます。投薬だけでなく、「手術行為」そのものにもプラシーボ効果を促す作用があったということです。

④アルコールの実験
ある大学で、半分の学生には「これはウオッカトニック(お酒)だ」と告げ、もう半分の学生には「これはトニックウォーター(ノンアルコール)だ」と告げて、全員にトニックウォーター(ノンアルコール)を飲んでもらう、という実験を行いました。実験の会場もバーを模したような会場で、グラスやボトルも本物のウオッカを思わせるような容器を用いました。そしてそれぞれが飲み終わった後、ある犯罪を描写した動画見てもらい、ミスリードを起こしやすいよう細工された事件調書を読んでもらいました。結果は、ウォッカトニックを飲んだ(と思いこんでいる)学生は、トニックウォーターを飲んだ学生と比較して、ミスリードの情報にひっかかりやすく、記憶にもあやふやになっていました。つまり、酔っ払っていたのです。実験後、学生達に、今回の実験が「プラシーボ効果」を観測するためのものであり、実は全てがトニックウォーターだったことを告げると、本当に酔っぱらった気分でいた学生たちは非常に驚いたといいます。

その他にも、

・偽薬を与えられた被験者が、ぜん息の症状や心臓病の症状を回復させた。
・偽薬を与えられた被験者が、血圧や心拍数が正常になったり、苦痛を和らげたりした。

・・・など、様々な実験や研究結果があります。

 

プラシーボ効果は科学的なのか?

それでは偽薬さえあれば薬は要らなくなるのかと言えばそうではありません。その効果を疑問視する声もあります。実際そのメカニズムは詳しくはわかっていないそうです。偽薬がなぜ効くのかは、未だに科学的には説明できていないのです。しかし、様々な実験や研究により、

・患者が偽の治療を本物と信じれば、回復への期待が生理的なトリガーとなって実際に症状が回復することがある。
・偽薬はストレスホルモンを減少させ、病気の進行を緩やかにすることの手助けになる。
・通常の薬でも期待感を持って服用すると、薬の効果にプラシーボ効果もあいまって、相乗効果が期待できる。

・・・など、その効果が、 ❝統計的❞ には確かめられています。

ハーバード大学医学大学院でプラシーボ効果について研究するアービング・カーシュ氏は、プラシーボ効果の本質について、下記のように語っています。

「人がある体験を予測・期待すると、その期待がある程度まで実現する傾向がある。」

 

ノーシーボ効果

ちなみに、プラシーボ効果とは逆の「ノーシーボ効果」というものもあります。これは「無害なものでも有害だと思い込んでしまうと、病気になったり、最悪の場合死に至る可能性がある」ということです。「反偽薬効果」とも言います。

実例として、

・処方された薬を「副作用があるのかも」と心配し過ぎてしまい、ありもしない副作用が起きてしまった。
・「自分は心臓病にかかりやすい」と信じている女性の死亡率は、そう信じていない女性の4倍にのぼった。
・実際はがんでないのに、がんと誤診されてしまった男性患者が、具合が悪くなって死んでしまった。

・・・などがあります。

❝思い込み❞ は時に人を死に至らしめるほどの絶大な力を発揮してしまう、ということがわかります。

 

思い込みは強力

今回は「プラシーボ効果(+ノーシーボ効果)」を紹介したのですが、結局のところ何が言いたいのかというと、「人間の思い込む力は強力」ということです。

「自分の思い込み・物事の捉え方によって体がプラスに反応したりマイナスに反応したりする」ということなので、自分の ❝思考❞ に大いに注意を払って、上手くコントロールする必要があります。

ポジティブシンキングが良いと言われるのも、このような現象からきているのだと思います。「思い込んだこと」がその人にとっての真実になるのであれば、ポジティブシンキングした方が圧倒的にお得です。

しかし、日常では、学校や会社や家庭、またスポーツの場でも、ネガティブシンキングが蔓延っています。

・「勉強はつまらないし難しい」と思っている子は、面白くないので実際に勉強をしない。= 成績が上がらない。
・「自分は売れない営業マンだ」と思っている営業マンは、実際に売るための創意工夫をしない。= 営業の成果を出せない。
・「自分は頭が悪いからクリエイティブな仕事はできない」と思っている人は、実際にほぼ単純労働のみをしている。= 給料が上がらない。
・「私はもう年だし」とか 「今更もう無理」とか思っている人は、実際に行動力や意欲がない。= 現状維持どころか衰退する。老けるのが早い。
・ 試合の時に「この人には勝てない」と思っているとホントに勝てない。= やる前から負けている。
・・・etc

もし、これらが「自分の固定観念」「ただの思い込み」だったとしたら、人生大いに損をしていることになります。

 

「上手くいく人」は『自信』を持っている

「上手くいく人」というのは「自信がある人」が多いと言われます。そしてその自信には、多くの場合根拠がないそうです。一方で「上手くいかない人」は「自信がない人」が多いと言われます。そしてその「自信がない」というのも明白な根拠はないそうです。このように「自信がある」も「自信がない」も共に根拠がないのであれば、ポジティブに自信を持った方が断然良いでしょう。

気合い満載で「絶対にできる!(ガッツ!)」と自分に強く言い聞かせるのでもいいし、口笛を吹きながら「ん~~まあできるっしょ(余裕)」という軽いノリでもいいし、「えー私は恐らくできると思います(キリッ)。」という真面目な感じでもいいし、自分のキャラに合う感じで考えてみて下さい。

「 ❝思い込みパワー❞ は強力」ということですので、「ポジティブな思い込み」のできる「自信がある人」になれるよう、日々 ❝ 思考の素振り ❞ を行って、習慣づけていきたいです。

 

名言集

それでは最後に名言集です。

 

「ある程度の年齢になると、人生とは自分の考え方次第で変えられるものだということが分かる。」

ウィリアム・ジェームズ

 

「『よし、朝だ!』というのも、『あーあ、朝か』というのも、あなたの考え方次第だ。。」

ウエイン・ダイアー

 

「僕は高校時代補欠だった。それでも考え方、生き方を変えれば創造を超えた場所でプレイできる。」

黒田博樹

 

「登頂に成功すると、自分の心にあった壁が壊れた。そして不可能は自分が作り出しているもの、可能性は自分の考え方次第で、無限に広がっていくんだということに気づいた。」

栗城史多

 

「幸福な人生を送るのに必要不可欠なものなどほとんどない。それはすべてあなたの内部、あなたのものの考え方の中にある。」

アントニヌス

 

「世の中には福も災いもない。ただ考え方でどうにでもなるものだ。」

シェイクスピア

 

「自分が心配、怖れたりしている時、『いや、これは俺の心の本当の思い方、考え方じゃない』と気付きなさい。」

「運命がつまらない、人生がつまらないって人は、その考え方がつまらない。」

中村天風