大坂なおみ選手のメンタル③

 

今日のテーマは 『大坂なおみ選手のメンタル③』 大坂選手シリーズ、ラストです。

 

準決勝の相手はプリスコバ。

実は大坂選手はかつて、プリスコバの試合中の姿勢から学びを得ていました。

2017年8月のロジャーズカップで、当時世界ランク1位だったプリスコバと対戦した大坂選手は、ポイントを取っても喜ばず、取られても動じない姿勢に、「世界のトップはこんなに冷静なんだと思った。私はミスするとイライラしてダメになってしまったり、感情の揺らぎに課題を抱えていたので、彼女のスタイルがとても参考になった。」と話していました。

 

そのプリスコバとの対戦、第1セットを取り、第2セットは4-4で迎えた第9ゲームでプリスコバのダブルフォルトのにより30-30となり、流れ的にはチャンス。

ここでブレークできればかなり勝利に近づく場面。

しかし、次のポイントで簡単なミスをした瞬間、この試合初めてネガティブな表情を出してしまった大坂選手。

引きずったのか、次のポイントもミスし、今度は奇声を上げてしまいました( ゚Д゚)。

こうなるとイライラが更に募り、次のサービスゲームは簡単にラブゲームでブレークされて、セットオールに(*_*;。

勝利が近づいた場面だったからこそ感情が揺れ、僅か2本のミスで、流れを失いました。

 

そして迎えた第3セット、嫌な流れを止めるべく、気持ちを切り替えて臨んだ大坂選手に対し、先に感情が乱れたのはプリスコバの方でした。

第3セット第2ゲームで、ブレークポイントを3度逃したプリスコバは怒りの感情をあらわにし、その後2本連続ミスでチャンスを逸すると、次の第3ゲームでは、大坂選手がラブゲームでブレーク。

奇しくも第2セット終盤と逆の展開で、今度は大坂選手がチャンスを掴み、それを勝利に繋げました。

試合後、第2セットを落とした時の心境を聞かれ、「何度も対戦した相手で、彼女の方が勝ち越しているので、ファイナルセットに入ることは想定できていた。だから、第3セットでまた頑張ればいいと思った。」と、うまく気持ちを切り替えることができていたことを明かしました。

かつて見本とした ❝サイレントキラー❞ と呼ばれたこともあるプリスコバに、「精神面でも負けなかった試合」だったと言えるでしょう。

 

そしてついに決勝戦。

決勝の相手は、2016年自宅で強盗に襲われ、利き手に重傷を負い、復帰を危ぶまれたところから驚異の復活を遂げ、ついにグランドスラム決勝の舞台まで戻ってきた、元世界ランク1位のペトラ・クビトバでした。

困難を乗り越えて復帰してきたクビトバは、間違いなく強い精神力の持ち主。

より一層、大坂選手の精神面が試される舞台でもありました。

 

第1セットはお互い譲らずタイブレーク入り。

それまで全てポイントを取られていた、クビトバのワイドへのスライスサーブに対してリターンエースを決めた大坂が、流れを掴んでリードを広げ、第1セットを取ります。

第2セットも5-3とリードし、クビトバのサービスゲームで0-40と、トリプルチャンピオンシップポイントを迎えます。

多くの人が大坂選手の優勝を確信したでしょう。

しかし、この試合もドラマがありました。

そこから驚異のパフォーマンスをみせたクビトバにマッチポイントを凌がれて優勝のチャンスを逸すると、まだリードしているにも関わらず、大坂選手のメンタルは揺れに揺れてしまいます。

(試合後、この時の心境について「マッチポイントで集中が途切れてしまった。まだ終わってないのに ❝勝った❞ と思ってしまった。」と語りました。)

次のサービングフォーチャンピオンシップもキープできず、2016年の全米オープンでキーズに大逆転負けを喫した時と同じように、涙を拭いながらのプレーとなってしまい、このセットを逆転で取られてしまいました。

 

この状況をみて、大坂選手の敗戦を覚悟したファンもいたのではないでしょうか。

しかし、ここでバスルームブレークのため一旦コートを去った大坂選手は、短い時間の間に気持ちを立て直していました( ゚Д゚)。

終わったこと(マッチポイントを取れなかったこと)はもうどうしようもない。私は世界一の選手と試合している。簡単に終わるはずはない。そしてこの舞台は子供の頃からの夢の舞台。後悔はしたくない。自分がコントロール出来ることに集中しよう。

と自分を取り戻し、良い精神状態で第3セットに臨んだ大坂選手は、素晴らしいプレーをみせます。

試合後、第3セットの自分を振り返り、「感情をすべてシャットアウトして、❝無❞ になって、ロボットのようにプレーしていたと思う。」と話した大坂選手は、集中力を高めてハイパフォーマンスを発揮。

序盤で先にブレークに成功し、優位に立ちます。

4-2からの第7ゲームでトリプルブレークポイントを逃すものの、今度は集中力を切らすことなく、5-4で2度目のサービングフォーチャンピオンシップを迎え、40-0とします。

そしてこのチャンピオンシップポイントでは、「自分のサービスゲームで40-0から落としたことはない。とにかく自分の力を出し切ろう。」と前向きな姿勢で臨み、見事サービスエース。

2時間27分の激闘を制して、全豪オープン初優勝を果たしました。

 

試合後、自身のメンタル面の成長について聞かれ、「ミスをした後に気持ちを切り替えるというよりも、目の前のことに ❝フォーカス❞ 出来るようになったんだと思う。」と話し、

更には「フォーカスしようとか自分に言い聞かせるのではなく、自然に目の前のことに集中できたのが良かった。」と、まるで ❝メンタルマスター❞ のようなコメントもしていました( ゚Д゚)。

 

この1年で、技術的にはもちろんのこと、メンタル的にも成長著しい大坂選手。

これからの更なる活躍が楽しみです。