大坂なおみ選手のメンタル②

 

今日のテーマは 『大坂なおみ選手のメンタル②』 前回の続きです。

 

全米オープン3回戦で、キャリア最大の勝利目前からまさかの逆転負けを喫し、涙を流した大坂選手は、その3週間後、東京で行われた「東レ パン パシフィック・オープン」に出場しました。

その2回戦で、2014年の全豪オープン準優勝者で当時世界ランク12位のドミニカ・チブルコワと対戦しました。

格上のシード選手との戦いでしたが、大坂選手は持ち前の攻撃テニスでチブルコワを圧倒。

第1セットを6-2で先取すると、第2セットも勢いは止まらず一気に5-1とします。

地元日本のファンは、もう勝ったも同然と思ったでしょう。

 

しかし、ここで大坂選手は、3週間前の悪夢を思い出していました。

「この前と同じだ・・・。この前はここから逆転負けした・・・。」

 

こう意識してしまった大坂選手は、それまで気持ちよく決まっていた攻撃的ショットを3本連続でミスしてしまい、0-40となってしまいます。

(大坂選手は試合後に、「この時は、一瞬自分を見失いそうになった」とコメントしています。)

しかしこの時、前回の反省を生かし、「どんな状況でも目の前の1ポイントのみに集中する」と自分に言い聞かせて集中力を高め、そこから5ポイント連取に成功。

見事にシード破りのアップセットを決めました。

全米オープンでの悪夢を断ち切った大坂選手は、その後、決勝でキャロライン・ウォズニアッキに敗れはしましたが、初のツアー準優勝を果たしました。

 

そして2018年3月のBNPパリバ・オープンで、マリア・シャラポア、カロリナ・プリスコバ、シモナ・ハレプの新旧女王を立て続けに破ってツアー初優勝。

その約半年後の全米オープンでは、憧れのセレナ・ウィリアムズを破って日本人初のグランドスラム制覇を成し遂げました。

 

そして2019年全豪オープン、大坂選手の真価が問われる大会がやってきます。

実は第2シードで出場した前哨戦のブリスベン国際では、メンタル的に崩れて準決勝で敗れましたが、

「今日は自分の姿勢が最悪だった。少しふてくされていたし、それを何とかしようとしても、ミスをすると、また子供じみた感じになってしまった。」

と、悪かったところを振り返りながらも、自分を卑下することなく

「この敗戦は、決勝に進出するよりも、学びが多かったかもしれない。今日のような状況を改善するのに、自分に何ができるのかを学んだ。」

と、メンタル面でもまたひとつ成長してメルボルンに入りました。

 

まずは大会前の会見で、目標について聞かれ、「自分にとって最大の目標は、より成長すること。人間として成長すること。」と真面目に答えた後、

「ある部分は自分だけど、ある部分では精神的に3歳児なところもある。その均衡をとることがオフシーズン中の最大の目標だった。」

と、会場を笑わせていました。

 

そして、全豪オープンでの最初の試練は3回戦、台湾のシェ・シュウェイ戦でした。

第1セットを5-7と逆転で失い、続く第2セットも1-4ダウン。

大坂選手は、「調子が悪いわけではないが、打っても打っても返ってくる。もっと攻撃しなければ…」とムキになっていたのです。

多くのファンが負けを覚悟したと思いますが、なんとここから大坂選手は一気に挽回します。

明らかに今までの大坂選手とは別人でした。

5-7、1-4から後は、1ゲームしか失わず、5-7,6-4,6-1での勝利でした。

何が起こったのか?

それは大坂選手が会見で答えてくれました。

「今日のような勝ち方ができて嬉しい。彼女の打ち方は他の選手と違っていて難しかった。圧倒されていた。」

「でも、悲しんでいる暇はなかった。私は本当に素晴らしい選手と対戦しているのだから、すべてのポイントに自分の持てる力すべてを注ぎ込もう!と思った。」

「圧倒されているとは思わなくていい。落ち着いて自分のできる範囲内でプレーすべきだと考えた。」

このように、相手に影響されることなく、自分のやるべきこと(コントロール内のこと)に集中した結果、メンタル的に安定し、本来のパフォーマンスを発揮できた、ということだと思います。

 

これまで、第1セットを失った時はほとんど負けていた大坂選手。

この逆転勝ちで、またひとつメンタル的壁を乗り越えました。

続く4回戦も、第1セットを落としてからの逆転勝ちを収め、もう「第1セットを落としたら負ける」選手ではないこと、3回戦の逆転勝ちがフロックではないことを証明しました。

 

大坂選手とサーシャ・バインコーチは、昨シーズンから「自分で問題を解決する」ということに取り組んでいました。

バインコーチは「この2試合、第1セットを失いながら、自分で問題を解決し、逆転勝ちしたのは立派だった。彼女は成熟した。以前よりはるかに良くなった。」と、大坂選手の成長ぶりを喜んでいました。

大坂選手が、2試合連続で1セットダウンから逆転勝ちしたのは、ツアー初のことでした。

 

そして準々決勝では、対戦成績で負け越していた第6シードのエレナ・スイトリナにストレートで勝利。

試合直後のオンコートインタビューでは「今日の試合のプランは、迷わず、怒らず、イライラしないで、自分のテニスをすることだった。」と笑顔で語り、会見で「今日一番良かったことは?」と聞かれ、「consistence」と答えました。

「consistence」とは直訳すると「矛盾がなく整合すること」という意味なので、プラン通りいった(イライラしなかった)、とか、安定感があった、とか、自分の実力を発揮できた、とか、そんな感じでしょう。

つまり、この試合も、メンタル面で安定感があったので、良いパフォーマンスを発揮できた、ということだと思います。

 

で、次は準決勝なのですが・・・

今日は前回よりも更に長くなってしまい、大坂選手の話題が2回の記事で終わりませんでした(*_*;。

次回、3回目に続きます^-^;。