大坂なおみ選手のメンタル①

 

今日のテーマは 『大坂なおみ選手のメンタル①』 です。

 

昨年の全米オープンに続いて今年の全豪オープンを制し、日本人史上初の世界ランキング1位に輝いた大坂なおみ選手。

今日本テニス界はその偉業を称える明るい話題で持ち切りなのですが、大坂選手といえば、「メンタルのアップダウンが激しく、良い時と悪い時の差が大きい」というような、メンタル面に関してはあまりよろしくない話題が多い選手でした。

しかし、今回の全豪オープンでは、「メンタル面が改善された!」「メンタルが一流になった!」という称賛の声も聞こえてきました。

今回と次回は、メンタル面の学びになるような、大坂選手のコメントやエピソードを紹介したいと思います。

 

2013年9月、15歳の時にプロに転向した大坂選手は、2016年の全豪オープンで予選を勝ち上がってグランドスラム初出場を果たし、2回戦で第18シードのエレナ・スイトリナに勝利して3回戦まで進出するなど、頭角を現しました。

その後もマイアミ・オープンで3回戦まで進出し、世界ランクトップ100入りすると、全仏オープンではエレナ・オスタペンコに勝利し、シモナ・ハレプと接戦を演じるなど、大器の片鱗をみせます。

そして世界ランク81位で迎えた全米オープンも快調に3回戦まで勝ち上がりましたが、ここで大坂選手は、自身最大の手痛い敗戦を喫することになります。

それは第8シードで地元アメリカのマディソン・キーズとの対戦でした。

 

相手がシード選手でも物怖じしない18歳の大坂選手は、持ち前の攻撃テニスで素晴らしいプレーを展開。

第1セットは失いましたが、その後、格上のキーズを攻撃的プレーで押し込んで第2セットを奪うと、第3セットはキーズを圧倒し、5-1。

多くのファンが大坂選手の勝利を確信します。

しかし、ここから思いもよらない展開が待っていました。

 

第7ゲーム、崖っぷちのキーズに、地元の2万人近い観客が1ポイントごとに大声援で後押しし、キーズもそれに応えるように諦めないプレーをみせてサービスをキープします。

ここでの大坂選手は、「相手がサービスゲームをキープしただけ。全然大丈夫。」と、まだ焦りはありませんでした。

しかし、次のゲーム1ポイント目で、ネットに詰めてきたキーズが勢いのまま豪快にボレーを決めて「カモン!!」と気迫を見せると、観客も一斉に怒号に近い声をあげ、この雰囲気におされたのか、大坂選手のプレーぶりに変化が生じます。

次のゲームはダブルフォルトがらみでブレークされ5-3。

その次は勢いに乗ったキーズにあっさりキープされて5-4。

こうなると、地元アメリカ大応援団の盛り上がりは更に勢いを増します。

まだリードしていた大坂選手でしたが、もうすでに冷静さは失われていました。

続くゲームでは30-30の時に痛恨のボレーミスでリードされると、次のポイントではフォアハンドをミス、ブレークを許します。

ついに追いつかれた大坂選手は、体をくの字にして奇声を発しました。

その後は涙を流しながらのプレーになってしまい、大逆転負けを喫することとなりました。

試合後、「5-1のリードから5-2、5-3となった時、もう何が何だか分からなくなってしまった…。」と、か細い声で振り返り、その心境を「freaking me out」(異常な精神状態)と表現しました。

 

トッププロの話(私の経験を越える話)ですので、実際のところはわかりませんが……、このブログの内容と重なるところもいくつかあります。

5-1となった時、「勝った!」と思ってしまい、脳機能が低下してパフォーマンスが落ちてしまったのかもしれません。

(「逆転負けパターン①」https://mental-talk.net/houshu/

5-2、5-3となった時、❝損失回避バイアス❞ が働いて消極的になってしまったのかもしれません。

(「逆転負けパターン②」https://mental-talk.net/bibiri/

観客の大声援(コントロール外のこと)や、キーズの大胆なプレーぶり(コントロール外のこと)に対し、動揺してしまったのかもしれません。

(「コントロール内、コントロール外」https://mental-talk.net/naigai/

今まで経験したことのない想定外の状況に陥り、パニック状態になってしまったのかもしれません。

(「想定内」https://mental-talk.net/soteinai/

または、これら全てが同時に起こっていた、という可能性も否定はできません。

 

いずれにしても、世界で活躍できるようなトッププロででさえ、メンタル的におかしくなることがあるということです。

(後々紹介するかもしれませんが、フェデラー選手ですら、同じようにメンタル的におかしくなって逆転負けしたことがあります。2011年全米オープン準決勝、vsジョコビッチ戦の出来事です。)

しかし、大坂選手は、この苦い経験を生かし、その後、徐々にメンタル面を向上させていくことになります。

今回は長くなったので、その話はまた次回にしたいと思います。