ネガティブでも目標達成できる

 

今日のテーマは 『 ネガティブでも目標達成できる 』 ということで、アメリカの精神分析医、ノレム氏とカンター氏による「楽観主義者と悲観主義者を比較した研究」について紹介したいと思います。

 

防衛的悲観主義

楽観主義と悲観主義であれば、ほとんどの人が楽観主義の方が上手くいくと考えるでしょう。欧米から入ってきた「ポジティブシンキング」「プラス思考」は大変有名です。しかし、前回投稿のビートたけしさんの話からも分かるように、悲観的に考えるからこその成功例もたくさんあります。

約30年前、ノレム氏とカンター氏は、「長い間、成功の秘訣とされてきた楽観主義には当てはまらない、とても悲観的なのにも関わらず、成功を収めている人達がいる」ということに注目し、そのタイプの人を ❝防衛的悲観主義者❞ と呼び、研究を重ねました。その結果、次のようなことがわかりました。

・防衛的悲観主義者のネガティブシンキングは、ただのネガティブシンキングではない。
・予想されるマイナスの事態を思い浮かべてリスクを洗い出すことにより、その対策を練ることができる。
・前に上手くいったことでも、今度も上手くいくとは限らないと考える。
・マイナスの事態を予測することで不安になるが、その不安を逆に利用してモチベーションを高め、行動することができる。
・マイナスの事態を避けるために、最大限の努力をし、目標達成に繋げている。

このように、リスクを洗い出すことで不安が大きくなるものの、そのネガティブから生まれるエネルギーを ❝行動力❞ に繋げることで、悲観主義者でも目標達成できることが分かったのです。

 

ポジティブがパフォーマンス低下に繋がる!?

そして更なる研究では、「防衛的悲観主義者は、ポジティブにアドバイスされると、逆に上手くいかなくなる。」という傾向が見られることがわかりました。

ある実験で、防衛的悲観主義者を2つのグループに分けてテストを行ったのですが、まずはその前に自分の成績を予測してもらいました。

グループ1は不安の高さを反映して、自分のレベルよりも低い成績を予測しました。そしてグループ2には、「あなた達なら、これから行う実験の成績は良いと思いますよ。」と前もって勇気づけを行った結果、グループ1よりも良い成績を出せることを予測しました。

で、テストの結果がどうなったかというと、グループ2の方が良い成績なのかと思いきや、その予想に反し、グループ1の方が成績が良かったのです。

ポジティブな声掛けが良いというのは世の通説となっていると思いますが、防衛的悲観主義者にとっては、むしろマイナスに働いてしまうこともあるのです。

私の経験でも、レッスン中に誰かを褒めると、その人が急にミスをし始める…なんてことがよくあります(^-^;。「褒められたらダメになる~!」とか「コーチ、褒めないでください!」と言われることも結構あります…(*_*;。

また、別の研究では、「防衛的悲観主義者は、その他の人と比べて、不安を感じていながらも、時間が経つにつれて自己評価が高くなり、幸せを感じ、学業で良い成績を出し、個人の目標に近づくことができる。」という結果が出ているものもあります。

これらの研究から分かることは、

「❝防衛的悲観主義者❞ にとって、ポジティブシンキングは必ずしも良い戦略ではなく、むしろ自身のパフォーマンスを落とすことにも繋がる。」

「悲観的に考えて不安に苛まれる人でも、対策し行動できる人であれば目標達成できる。」

ということです。

「ポジティブシンキングが素晴らしい。常に前向きに考えましょう!」という偏った安易な発想は、正解とは言えないのです。

 

名言集

それでは、最後に名言集です。

 

「楽観よし悲観よし。悲観の中にも道があり、楽観の中にも道がある。」

松下幸之助 (パナソニックを一代で築き上げた経営者である。異名は経営の神様)

 

「『楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する』ことが物事を成就させるために必要。」

稲盛和夫 (京セラ・第二電電(現・KDDI)創業者・日本航空名誉会長)

 

「ポジティブ思考の社会的推奨は、この不合理的信念を個人個人に引き起こす。それは一種のパラドックスである。ポジティブ思考であらねばならぬという思考こそ、他ならぬマイナス思考を導くからである。世の中がポジティブ思考こそが良いもので、ネガティブ思考は論外だと考え出した時、ポジティブ思考の人間は存在しなくなるであろう。」

東北大学大学院准教授

 

「私が悲観主義者か楽観主義者かの問いにはこう答える。私の知識は悲観的なものだが、私の意志と希望は楽観的だ。」

「楽観主義者は、どこでも青信号を見る人のこと。悲観主義者とは、赤信号しか見えない人のこと。本当に賢い人は色盲です。」

アルベルト・シュヴァイツァー (フランスの神学者・哲学者・医者)

 

「現代においては、楽観主義よりも悲観主義のほうがずっと真っ当と言える。平和と繁栄と少年非行の減少を予想するのは、怠慢で中身が空っぽな人間である。」

ジョン・ケネス・ガルブレイス (制度派経済学者・ハーバード大学名誉教授)

 

「楽観視して黙って見ているだけでは何も変わりません。挑戦して傷つくたびに、魂が鍛えられ、熱意に磨きがかかり、達成へと繋がるのです。」

ヘレン・ケラー (アメリカの教育家、社会福祉活動家、著作家、視覚・聴覚の重複障害者)