今日のテーマは 『 ポジティブ・ネガティブの非対称性 』 です。
人にはネガティブ傾向がある
私達人間は本来、ポジティブな事よりもネガティブな事に目が行く傾向があります。これは心理学で実証されており、「ポジティブとネガティブの非対称性」と言われています。
太古の時代からの人の歴史を見ても、ネガティブに考えて危険を察知し、対処してきたからこそ、人類は生き残って繁栄していると言えます。
例えば猛獣に襲われそうな時、ネガティブ思考もなく「あ~猛獣さんだ~(^^♪。」とか言ってニコニコして近づいていったら、あっという間に襲われて猛獣さんのエサになってしまいます。
また、森林にある果実や木の実やキノコを発見し「やったー!(^^♪」とか言って、毒や腐敗を気にすることなく片っ端から食べていたら、食中毒になって死んでしまいます。
ネガティブ思考できない動物は生き残れないのです。ネガティブ思考は自分の身を守るために非常に大切な能力であり、その遺伝子は現代にも受け継がれているのです。
ですので、ふと気付いたらネガティブシンキングしていたり、ネガティブリアクションしていたり、ネガティブワードを発したり、長所よりも短所の方に目が行ったり、恵まれている事よりも、足りない事の方が気になってしまったりするのです。
意識的にポジティブに目を向ける
しかし、その傾向を無意識にそのまま受け入れてしまうと、セルフイメージ向上の妨げになってしまいます。
セルフイメージを向上させていくためには、その ❝本能❞ に逆らって、自分の良いところに目を向けなければなりません。
しかし、「自分の良いところに目を向ける」というのは、「ポジティブ・ネガティブの非対称性」から言えば、不自然なことです。
不自然だからこそ、意識的にトレーニングする必要があるのです。
❝ネガティブ3兄弟❞ と ❝ネガティブ3D❞ に気付く
トレーニング方法は何でも良いのですが、何をしたらいいのか分からないという方は、日常的に人がやりがちな、 ❝ネガティブ3兄弟❞ と ❝ネガティブ3D❞ を意識して、それをやってしまった時に気付く練習をするとよいと思います。
❝ネガティブ3兄弟❞ とは、
「ネガティブリアクション(マイナスの態度をだしてしまう)」
「ネガティブシンキング(マイナス思考をしてしまう)」
「ネガティブワード(マイナスの言葉を発してしまう)」
の3つです。
❝ネガティブ3D❞ とは、
ネガティブシンキング・ネガティブワードに含まれるものですが、
「でも…」「だって…」「どうせ…」
という思考・発言のことです。
まずは「気付いて認識する」練習からスタートし、「正しくフィードバック」して、徐々に改善していきましょう。
日常生活でも訓練可能
当然のことながら、人は完璧ではないので、どれだけ訓練しても瞬間的にネガティブになってしまうことはあります。これを完全に防ぐことはできません。プロのアスリートでさえ、完璧にはコントロールできていませんので、アマチュアの世界であれば尚更です。
しかし、少しづつ改善していくことは間違いなく可能です。物事には、「段階・ステージ」があります。個々のステージに合わせて、1歩1歩進んで行くことは素晴らしいことです。
そして、この ❝認識する❞ 訓練は、「練習中」とか「トレーニング中」とか「試合中」でなくても行うことができます。日常生活の中でも、ネガティブになる場面が多々あるからです。
ということは、1日中がメンタルトレーニングの場になります。これはメンタルを進化させたいと思っているプレーヤーには朗報です。いつでもどこでも鍛えるチャンスがあるのです。
実際問題、「練習中・トレーニング中はポジティブになろう!」というだけでは、訓練の効果が低いと思います。(もちろんやらないよりはいいですし、段階によってはそれで良いと思います。)
できれば、練習時も日常生活も、いつもポジティブでいようとする訓練をしたほうが良いです。
現実的に「普段の生活ではネガティブなのに、スポーツする時だけポジティブになる」というのはちょっと難しいのではないでしょうか。
試合の時は ❝素❞ がでる
本番の試合というのは、大事な試合であればあるほど、大きなストレスがかかるので、自分の ❝素❞ が出やすいです。 ❝猫をかぶっていない自分❞ が、現れやすいのです。
ですので、❝素❞ = ❝猫をかぶっていない自分❞ =『ポジティブ』という式が成り立つように訓練していきたいです。
「必要な時だけポジティブになる」という発想ではなく、自分自身が本質的・根本的に ❝前向きポジティブ人間❞ になることができるよう、やるべきことを積み重ねていきましょう。
名言集
それでは最後に名言集です。
「誰もあなたのことを信じていない時に自分を信じることだ」
ビーナス・ウィリアムズ (シングルス・ダブルス・混合ダブルスでのグランドスラム優勝23回、オリンピック金メダル4個獲得)
「自分で限界をつくることは、可能性を捨てることである。」
桜井章一 (経営者、雀士、著作家)
「ポジティブな人に近づき、ネガティブな人から離れる。」
ジェフ・ケラー (アメリカの講演家、自己啓発作家、弁護士)
「前向きに食事をし、前向きに買い物をした。何事も前向きに行動することが可能性を生む。」
イチロー (MLBシーズン最多安打記録保持者(262安打)、プロ野球における通算安打世界記録保持者(NPB/MLB通算4257安打でギネス世界記録に認定)
「自分にはそれができないと言った瞬間から可能性の道は閉ざされてしまう。同じ能力の持ち主でも、プラス思考で取り組んだ人は、うまく行き、マイナス思考で取り組んだ人は、うまく行かない。まさに人間は自分が考えた通りの結果を手にするのである。」
ウィリアム・ジェームズ (アメリカの哲学者、心理学者)