前人未到の大記録を達成したラファエル・ナダルの言葉

 

今回のテーマは「前人未到の大記録を達成したラファエル・ナダルの言葉」です。

前回はイガ・シフィオンテクのお話でしたが、今回はそのシフィオンテクが大ファンだという、ラファエル・ナダルの言葉を紹介します。

 

「テニスはもうできないかもしれない」と言われた過去

2020年10月、ナダルは「全仏オープン」で優勝し、自身が持っていた大会最多優勝記録を13に伸ばしました。しかも、4大大会で4度目の「全試合ストレート勝利」という完全制覇でした。

この優勝によりナダルは4大大会優勝20回となり、最多優勝記録でロジャー・フェデラーと肩を並べました。また、クレー通算タイトル60勝目、全仏オープンマッチ通算100勝目(敗戦は僅か2回)、自身3度目の全仏オープン4連覇を達成しました。

どれもこれも信じられない、とんでもない記録ですが、実はナダルは19歳の時、医師に「テニスはもうできないかもしれない」と告白されたことがあるそうです。

「19歳で全仏オープンを優勝した後、もうテニスは無理だと言われた。左足が少し変わった形をしていたせいで、耐えられないほどの痛みがあり、コートの真ん中に椅子を置いて座ってトレーニングすることもあった。でも足のポジションを変える中敷きを作ってもらい、足は回復した。だが今度は膝に問題が出てきた。身体の問題は常に付きまとった。」

しかし、ナダルはそれらの苦境を乗り越え、テニス史に残る名選手の一人となりました。ナダルは現在のような結果を残すことができた要因として、「身体面と同じぐらい精神面が大切だった」と話しています。

「常にポジティブな気持ちでいることが大事だと思う。自分の弱さでさえも強さに変える。いつか必ず状況が良くなると信じて、困難に抵抗する準備を整える。抵抗するしか解決策はない。」

 

ナダルが考える『才能』とは?

34歳のナダルは、まだ引退は考えていませんが、いつか引退した時、「私は『GOAT(Greatest of All Time/テニス史上最も偉大な選手)は誰か?』という議論に加わる気はない。」と言っています。

また、才能について、「才能とは何だろう?何でも簡単にできる人もいれば、長く続けられる人もいる。誰もが各々の才能を持って生まれている。ただ私は『30分で ❝良い記事❞ を書ける人』よりも、『6時間かかっても ❝素晴らしい記事❞ を書く人』の方が、より素晴らしいのかなと思っている。」と語っています。

 

ロッカールームでのナダル

ナダルの集中力が尋常でないことは誰もが認めるところです。だから「ナダルがロッカールームにいると、他の選手が近寄れないほどの雰囲気を醸し出しているのでは?」と考える人も結構いるようです。

しかし、ナダルは自身について「私は普段の生活ではとても穏やかだと思っている。だから私はロッカールームで声を荒げたりしない。冷たいシャワーを浴びて、ヘッドホンで音楽を聴いて、バンダナを結ぶ。対戦相手を威嚇するようなことは絶対にしない。」と話しています。

そしてそのナダルの言葉を裏付けるように、シフィオンテクのコーチであるピオトル・シェルツプトウスキー氏は、全仏オープン時のナダルについて次のように語っています。

「彼はとてもマナーのいい人だ。いつも挨拶して、ウィンクしたり、笑顔を見せる。彼は謙虚で無礼なことなど何ひとつない。ロッカールームではチームの皆とボードゲームをしたり、他の選手と話したり、皆と同じものを食べている。」

また、ロッカールームでの出来事ではありませんが、シフィオンテク本人も、全仏大会初日に偶然ナダルと接触していて、その時の振舞いに感銘を受けたそうで、次のように明かしています。

「大会初日に私がウォーミングアップで友達とサッカーをしていたら、ラファのボディガードが私達に止めるよう言ってきたのだけれど、それを見た彼(ナダル)は手を振ってプレーを続けるよう合図してくれたんです。私はすごく感謝しました。」

 

ルーティーンについて

ナダルはクレーコート上でボールキッズからタオルを受け取る前に何度もベースラインをきれいにしたり、ゲームの間でベンチに座っている時、2本のボトルから少しずつ水を飲み、それを繊細にを並べ、ラベルも同じ向きに揃えます。

そのようなルーティーンついてナダルは次のように言っています。

「私は2本のボトルを足元に置く。1つはもう1本の後ろにきちんと置き、コートに向かって斜めにしている。自分の頭の中で求めている順番に合わせて、身の回りを整理整頓する事が、試合に入り込んでいく方法だ。」

「迷信だと言う人もいるが、そうではない。私は縁起をかついでいるわけでも、ルーティーンの奴隷になっているわけでもない。もしそうなら負けるたびにルーティーンを変えているだろう。」

「私は元々結構ちらかすタイプだから、整理整頓する事で集中しようとしている。心の中の声を静めようとしている。心の声が『負けるかもしれない』と言ってくるのを聞かないために。そしてもっと危険な『勝てるかもしれない』と言ってくるのを聞かないために。」

「私は、本当に重要だと思うものは整理整頓している。私のテニスの試合前のルーティーンは、毎回全く同じ。それを毎日完璧に繰り返すようにしている。そうすることで、物事が自分にとって良い方にいくか、少なくともそうなるように出来る限りのことをしていると思えて安心するし、自信を与えてくれる。」

 

最後に

ナダルは「ATP1000 パリ」と「Nitto ATPファイナルズ」でまだ優勝したことがなく、そのタイトル獲得について大会前によく記者に質問されていますが、ナダルが集中するのは、そのタイトル獲得のことではないようです。最後にその時に語ったナダルの言葉を紹介します。

「大会に出場する時、私はいつも『今できる最高のプレーをする』ということに集中している。私は最高のプレーをするためにここに来ている。」