意志力

 

今日のテーマは 『 意志力 』 です。

意志の力は重要

フロリダ州立大学の社会心理学者で、「心理学者として世界で最も研究結果の引用が多く、影響力の大きいひとり」と言われるロイ・バウマイスター教授が、「人間には意志力(=自己コントロール力)が備わっている」ということを、実証研究により示しました。

また、「個人に幅広い利益をもたらすと考えられる性質は2つしかない」と、実証研究から結論付けているのですが、その2つは『意志力(=自己コントロール力)』と 『知能』ということです。

バウマイスター教授は、「 『知能』は生まれつきの要素が大きく、向上させるのがかなり難しいが、一方で、 『意志力』というのは筋肉のようなもので、トレーニングによって向上させることができ、加えて効果が長期間にわたる。」と述べています。

また、「 『意志力(=自己コントロール力)』によってもたらされる幅広い利益」の例として、❝健康❞ と ❝業務遂行能力❞ を挙げています。

確かに、 『意志力(=自己コントロール力)』が強ければ、禁煙や禁酒やダイエットにも成功できるでしょうし、勉強やスポーツや仕事においても、ハイレベルな行動力を発揮できるでしょう。

逆に 『意志力(=自己コントロール力)』が弱ければ、勉強や練習や仕事もすぐに放り出してしまったり、誘惑に負けて、すぐに楽な方に流されてしまうような生活をすることになってしまいます。

学校や仕事の成績が上がらない…とか、運動不足で不摂生な生活をしている…とか、衝動買いやアルコールに走ったりとか、もっと酷い場合は、借金、暴力、薬物の乱用なども、 『意志力(=自己コントロール力)』 の弱さが大きな原因の1つだと言われています。

仮に、「意志力の強い人」と「意志力の弱い人」の追跡調査をしたならば、数年後には既にそれなりの差がついているでしょうし、数十年後とかだと、とんでもない差がついてしまっていることでしょう。

 

意志力=気合と根性!?

ということで、この『意志力=自己コントロール力』がどれほど備わっているのか?が、その人の人生を大きく左右してしまうと言っても過言ではありません。

ですので、『意志力』について学んで、向上に努めることは、人生においてかなり重要なことなのです。

しかし、一般的には『意志力』ということについて、正しい知識があまり世の中に出回っていないようです。

スポーツの世界で「意志力=気合と根性」といった、古いタイプの根性論だけを唱える指導者が存在するのと同じように、その他の分野でも、「意志力=気合と根性のみ」と思っている人が少なからずいるのかもしれません。

「気合と根性」はもちろん必要なものであり、それを疑う余地はないのですが、「気合と根性だけでは限界がある」という知識も持つ必要があると思います。

 

意志力は消耗品

 『意志力』とは、「誘惑や困難に負けず、自分をコントロールできる力(=自己コントロール力)」ということなのですが、ロイ・バウマイスター教授は更に次のように述べています。

「意志の力というものは、物語のコンセプトのようなものではなく、自動車のガソリンのようなものだ。つまり、その量を測定できるようなエネルギーであり、使えばなくなっていく消耗品なのだ(自我の消耗)。そして、すべての種類の行動に用いられる意志力の出所は1つである。」

つまり、『意志力』 は「無限に湧いてくるもの」ではなく、「限られた資源」であるので、何かに集中できなかったり、我慢できなかったりするのは、単に意志が強いか弱いかという精神論だけの問題ではないということです。

『意志力』を消耗している状態では、パワーがでてこないのです。どんなに気合いを入れても、ガス欠の車が動いてくれないのと同じです。

「 『意志力』を消耗している状態の例」としては…

「練習で疲れて、家に帰ってからトレーニングをサボってしまった…。」
「嫌いな勉強を我慢して頑張ったが、ストレスが溜まってしまい、親やモノに当たってしまった…。」
「夜、仕事から帰ってからやることがあったのに、『明日でいいや』と思ってしまい、やらなかった…。」
「徹夜で作業をしている時に、お菓子を食べ過ぎたり、タバコを吸い過ぎたりしてしまった…。」

という感じでしょうか。

「単に意志が弱いだけ」とも言えますが、そんなに意志が弱いわけではない人でも、意志力を消耗した状態では、ちょっとした誘惑や刺激に敏感になってしまい、「単に意志が弱いだけの人」と同じような行動を取ってしまうことがあるのです。

 

自己コントロール戦略

では、消耗したらどうすればいいのか?ということですが、 『意志力』は睡眠や休息をとることで回復すると言われています。

健康的な食事や質の良い睡眠を心掛ければ、更に回復効果が高いでしょう。

朝起きた時には新鮮な『意志力エネルギー』がたっぷりあります。しかし、そのエネルギーは1日に起こる様々な出来事により、徐々に減少していってしまいます。つまり、朝から夜にかけて『意志力』はだんだん消耗して弱くなってしまうのです。

そのため、朝は「意志力を要する行動(あまり気が向かないこと)」にエネルギーを使い、夜になるほど、「意志力に頼らなくてもできる行動(楽しいこと・好きな事・習慣化していること)」をすることが ❝自己コントロール戦略❞ の1つになります。

ですので、「嫌なことや面倒くさいことは先に終わらせよう!」とか、「なるべく早い時間帯に仕事をこなしてしまおう!」というのは、 ❝自己コントロール戦略❞ として理にかなっていると言えるでしょう。

ただ、この戦略は「ペース配分を考えましょう!」ということであり、もっと力を入れて考えたい根本的な問題は、❝更なる自己コントロール力の向上(底上げ)❞ です。

バウマイスター教授は、 ❝自己コントロール力の向上❞ のために、「『意志力』を節約せよ!」「『意志力』を鍛えよ!」と説いています。

また、「『デキる人』ほど『意志力』をあまり使わず、『ダメな人』ほど『意志力』を使おうとする」と言います。

つまり、『デキる人』は、自分に必要ない事(やらなくていいこと)を見極めて排除したり、いろいろなところで生じる選択肢を減らしたり、行動を習慣化(ルーティーン化)したりして『意志力エネルギー』を節約し、本当に重要な事だけに『意志力』使うように心掛けているということです。

では実際「『意志力』を節約するため」「『意志力』を鍛えるため」に、どうすればいいのか?ということなのですが、それは次回以降のテーマにしたいと思います。