「正解」は1つではない

 

今日のテーマは 『「正解」は1つではない  』です。

前回の最後に、「これが唯一の解だというものはない。」という茂木健一郎さんのお話を紹介したのですが、今回はそれについてもう少し考えたいと思います。

ボールペンの例

例えば、青いボールペンがあるとします。これを説明する時、色んな言い方があります。

「これは青い」「これは先が尖っている」「これは細長い棒」「これは(違う角度から見ると)丸い」「これは長さが15㎝」「これは100円」・・・etc。これらはこのペンの説明で、全て正解です。

しかし、「正解は1つ」という思考習慣がある人の場合、1つに固執して、それ以外の情報が入ってきにくくなってしまいます。下手をすると、自分が思うもの以外を否定してしまいます。

そしてそういう人が何人かいると、言い合いになったりします。「これは青いボールペンだ!」「いやこれはどう見ても細い棒だ!」「いや違う、これは100円だ!」とか。全部正解なので収拾がつきません。

ボールペンに関してそんな言い合いになることはないと思いますが、実際、このようなことは色んな場面で起こっています。

色々言われて混乱してしまう

私は午前中に初級者~中級者レベルのテニスレッスンをしているのですが、熱心な方が多く、週1回といわず、2回3回と色んな場所でテニスをしています。

色んな場所でテニスをしているので、色んな人に色んなことを言われます。コーチに限らず、周りの一緒にしている人達も、ご厚意で色々と教えてくれたりします。

そうするとどうなるのかというと、色々言われ過ぎてこんがらがったり、どうしていいかわからなくなっていたり、誰かに言われた1つのことを頑なに守っていたり、そんなことが起こります。

そして「何が正しいのか、答えを教えて下さい!」という話になります。しかし、答えは1つではないのです(だから指導するのは難しい…)。

例えば、ダブルスで「ポーチ」という前衛の動きがあるのですが、この「ポーチ」に行くタイミングについて様々な意見があります。

「相手が打つ瞬間に動く」「相手が打つ前に動く」「相手に気付かれないように!」「相手に動きを見せてプレッシャーをかけろ!」とか。

そのようにいろいろ言われて、「どれが正解なの?」と混乱するわけです。

しかし、これらは全部正解です。状況によって、相手によって、自分のレベルによって、やり方は変わるのです。しかも、「正解」とは言うものの、「考え方として間違っていない」ということであり、実践では全てが上手くいくわけではありません。

そしてその選択は、前回の題名にもしていますが、レベルの高い人は ❝確率❞ で考えています(意識として考えていないとしても、恐らく感覚的に捉えていると思います。)。あくまでも ❝確率論❞ なのです。

分かり易く極端に話をすると、1試合に5回ポーチに出たとして、3回成功するのであれば、❝やる価値あり❞ ということになります。

なのですが、「答えを求める人(確率で考えない人)」は、ポーチに出た時にストレートに打たれて失点すると、「言われた通りにしたのに上手くいかなかったじゃないか!」とコーチに怒り気味に言ってきたりします。そして、ストレートに抜いた方の人は、「動くのが早いんだよ」と言ってご満悦状態になっていたりします( ̄ー ̄)ニヤリ。(よく見かける光景です)。

しかし、大切なのは「確率論的思考」であり、「1回失敗したからダメ」という思考をしていては、なかなか向上に繋がらないのです。

明確な答えを求めてしまう

その他で、レッスンをしていて思うのは、「 ❝型❞ を教えられたり、 ❝方法❞ を教えられると、それを ❝唯一の解❞ だと思う人が多い。」ということです。

前回の茂木先生のお言葉通り、人は ❝確実性❞ を好むので、「これはこうです!」と言い切った方が、分かり易いですし、生徒さん達はより一層満足してくれます。

そのような理由から、コーチ達は、「端的に言い切る」ことが多くなってしまうのだと思います。

しかし、実際は、その方法は ❝唯一の解❞ ではありません(こうすれば確実に上手くいくという ❝唯一の解❞ は存在しない。)。

ですので、「それが明確な答えだ」と思って、その1個の方法に捉われて練習してしまうと、そのうち壁にぶつかる可能性が高いです。

しかも真面目な人ほどそんな感じになり易く、「真面目にやってるのに上手くいかない」という悲しい現象が起きてしまいます。

本人としては、「答えを知って、正しいことをした(つもり)」にも関わらず、実は、それはその人にとって「上手くいかない方法」だった…なんてことも起こってしまうのです。

私の場合は、レッスン時に生徒さんに今回のような話をするようにしています。特に「真面目な人」には何回も言うようにしています。

三木谷さんのお話

ということで、今回は『「正解」は1つではない 』という話だったのですが、この『「正解」は1つではない』『❝確率❞ で考える』という2つの考え方は結構重要だと思うので、 ❝マインドセット❞ に加えて頂きたいと思います。

では最後に、楽天株式会社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏の言葉を紹介します。

『1つの正解だけを求めると、思い込みやすくなる。「間違った回答をしてはいけない」と考えるようになってしまう。実際は正解が1つとは限らない。間違う覚悟で、あるいは、間違ったら間違ったで、「修正できるチャンスが来た」と思うことにして、どんどん回答すればいいのだ。そのうち、正解に出くわす。しかし、正解に出くわしたとしても、「正解の1つに出くわした」くらいの感覚で、それにしがみつかない方がいい。時が経てば、人が変われば、環境が変われば、正解も変わっていくことがある。「すばらしい正解にたどり着いた」と思ったとしても、正解は変わっていくことがあるのだ。』