今日のテーマは 『 ゴーレム効果 』 です。
『ゴーレム効果』とは
『ゴーレム効果』とは、「指導者が期待度の低い状態で接すると、学習者の成績が低下する」という 『ピグマリオン効果』と正反対の心理効果のことで、この ❝ゴーレム効果❞ を提唱したのも、アメリカの教育心理学者、ロバート・ローゼンタールさんです。
ゴーレムとは、ヘブライ語で ❝形なき者❞ という意味で、ユダヤ教の伝承に登場する、「造った人の命令のみを聞き、動力源である額の札を外すと土に戻ってしまう(死んでしまう)」という泥人形のことです。
「期待度の低い状態で接する」という行為は「動力源の札を外す行為」に等しく、そのため、学習者はやる気をなくし成績が低下することに繋がる…ということで、『ゴーレム効果』 というネーミングなったそうです。
「期待度の低い状態」とは
この『ゴーレム効果』からの学びも、前回の『ピグマリオン効果』と同じく「指導者から学習者への期待度が重要である(期待されない学習者は成長しない)」ということなのですが、これに関しても「 ❝期待度の低い状態❞ とはどういうことか?」について考える必要があると思います。
基本的には、指導者が学習者に対して、「マイナスの言葉を浴びせる」とか「相手にしない」とか「上っ面で付き合う」とか「学習者の成長を諦めている」とか、こんな感じで接すると、学習者のモチベーションが落ちて → やる気を失って → 行動しなくなって → 成績が下がる…という感じの意味だと思います。
そして、その通りだと思います。もちろん、全てが正しいわけではありませんが、学習者が指導者に対して、情熱や愛情を全く感じないような状況であれば、『ゴーレム効果』が機能してしまう可能性を高めることになるでしょう。
冷静さを欠いてはいけない
ただ、注意しないといけない点は、「期待して情熱を持って接してはいるが、つい熱くなってしまって(冷静さを欠いて) ❝マイナスの言葉❞ を浴びせてしまったり、ネガティブなアクションをとってしまう」ということです。そして、このようなコーチや親御さんを結構よく見かけます。(とか言う私自身も結構やってしまっていました…(;一_一))
これをやってしまうと、期待しているのにも関わらず、『ゴーレム効果』が発動してしまうなんてことが起こってしまいます。
「なんてどんくさいんだ!」「今のは取れるだろ!足遅いな!」「なんでそんなミスするんだ!ヘタクソ!」「なにビビってるんだ!チキン野郎!」・・・etc。(ちょっとヒド過ぎ!?)
たまに冗談で言うくらいならまだしも、しょっちゅう言われると、それがセルフイメージになりかねません。セルフイメージになると、それがメンタルブロックになってしまうので、かなり注意が必要です。(たとえ冗談だとしても、たとえ1回だけだとしても、影響力がある人(学習者自身が一目置いている親や先生やコーチ)の発言は、心に残る場合がありますので、同じく注意が必要です。)
セルフトークは重要
あと、前回書き忘れていたのですが、 ❝ちょっとした応用編❞ という感じで、「自分自身への期待」にも『ピグマリオン効果』と『ゴーレム効果』が働きますので、「自分自身への言葉=セルフトーク」も重要です。
自分自身に対してネガティブな言葉(できない・ダメだ・無理だ…とか)を浴びせてしまうと『ゴーレム効果』が効いてしまいますので、自分自身に『ピグマリオン効果』が発揮されるような言動を心掛けて下さい。
名言集
それでは、今日も最後に名言集です。
「この人にはこれだけしか能力がないなどと決めつけては、能力は引き出せません。」
井深大(SONY創業者)
「子供に向かって『勉強しろ』と言いながら、自分はせんべいをかじりテレビを見ていては、子供はまず言うことを聞きません。」
杉山 芙沙子(娘の杉山愛選手をはじめ、多くのテニス選手の育成を手掛けるコーチ)
「どんな愚かな者でも、他人の短所を指摘できる。そして、たいていの愚かな者が、それをやりたがる。」
ベンジャミン・フランクリン(アメリカの政治家、物理学者)
「他人を指導して欠点を直してやり、良い方向に向けてやろうと思うなら、まずあなた自身から始めてはどうか。まったく自己本位に考えれば、そのほうがはるかに利益がある。その上、危険もはるかに少ない。」
デール・カーネギー(アメリカの作家、小説家)