文脈干渉効果①(環境編)

 

今日のテーマは 『文脈干渉効果①(環境編)』 です。

 

❝文脈干渉❞ というのは、「練習の対象とは別に、記憶を引き出す時に、その時の状況(文脈)が影響を与える(干渉する)」という意味で、「技術向上のために行う反復練習が、その時の状況と結びつけられてしまうことで、状況が変わると実行できなくなる」という現象のことを、❝文脈干渉効果❞ と言います。

人間の脳は、新しい知識や技術を習得しようとする時、その知識や技術を単独では覚えられない仕組みになっているので、同じ状況で繰り返して練習してしまうと、その知識や技術とその時の状況が結びついて記憶されてしまうのです。つまり、状況が変わるだけで、その知識や技術を引き出すことができない…ということが起こってしまうのです。

 

練習の時はあまりミスをしないショットなのに、本番ではなぜか入る気がしない…とか、練習試合では高いパフォーマンスを発揮するのに、本番の試合では、自分の実力を思うように発揮できない…という話はよく聞きますし、実際たくさん見てきました。

それは「本番では緊張し過ぎてしまった」というメンタル的問題だと考えてしまいがちですが、実は理由はそれだけではないのです。(もちろんメンタル的問題の割合が大きいのは事実だと思います。)

❝文脈干渉効果❞ の影響を考えると、例えば、いつも同じ場所で同じような練習を行っている場合、本番の試合会場が練習の時と違っただけで、いつもの実力が出せなくなる…なんてことが起こり得るのです。

ジュニアが、初めて県大会を突破して地区大会に出場し、初めて県外の会場で試合をする…とか、初めて地区大会を突破して全国大会に出場して、初めて全国大会の会場で試合をする…とか、このような場合も同じようなことが言えるでしょう。

 

では、どのように対策するか?ですが、練習の効果を妨げるこの脳の仕組みを回避するためには、習得したい技術を、状況と切り離して習得する必要があります。そのためのキーワードは ❝ランダム❞ です。なるべく同じパターンにならないようにするのです。

例えば、「練習のコートを変える(景色を変える)」というやり方があります。今日は1番コート、明日は3番コート、明後日は5番コート・・といった感じです。

また、定期的に場所を変えたり、練習相手を変えたり、レベルを変えたりすることも効果があります。

日々テニスクラブでレッスンを受けている選手は、「そんなの無理(+_+)」と思うかもしれませんが、落ち着いて考えると、意外とできることも多いと思います。

具体的には、

・自主練する時は、いろいろとコートの場所を変えてみる

・違うクラブに出かけて、そこにいる友達と練習する(チャンスがあれば県外にも行けると良い)

・コーチにいろんなクラブと対抗戦(練習試合)を組んでもらう

・ご両親に県内、県外限らず、いろんな場所に試合に連れて行ってもらう

・自分よりレベルの高い人がたくさんいる練習の場に参加する

・ジュニア合宿(泊まり込みの練習会)に参加する

・大人の練習会に入れてもらう

・大人(一般)の大会にも出場してみる

・・・・etc。

という感じです。

 

このように ❝ランダム❞ をテーマに行動して、技術と状況の切り離しに成功すれば、状況(場所)が変わっても、習得したことを無理なく実行できる可能性を上げることができます。

日々の練習で築きあげてきた自分の実力が、環境が変わるだけで出せなくなるというのはもったいないですので、そのようなことはできるだけ回避するために、少しづつ対策していく必要があると思います。

「全く違う環境でもすぐに適応し、自分の実力を発揮することができる選手」になることが目標です。

 

 

今回は ❝環境❞ に関してだったのですが、次回は ❝練習方法❞ に関しての話にしたいと思います。